名峰、鳥海山と、美しい日本海に挟まれた風光明媚な町、にかほ。鳥海山が蓄えた伏流水が麓の土地を豊かにし、そこから滋味深い作物や海産物が生まれ育つ。それらを食して暮らす人々の心はおおらかで、まるでそれは鳥海山のよう……。

なんて、つらつらと書いてみるけれど、物事はそんなに単純な話ではない。

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美しい鳥海山には大気汚染の影響が見られ、せっかくの肥沃な土地の一部には農薬が染み込み、そして海岸沿いには多くのゴミが漂流している。

このまちの美しさを切りとって伝えていくことが仕事でもある僕は、その一方で、Instagramの正方形のフレームから外された現実に目をむけることもまた大切な仕事だと思っている。というか、そのことを抜きにして良いところだけを表現していたら、きっとバランス取れずに病んじゃう気がする。

そう、何事もバランスが大切だ。にかほの、秋田の、良さを発信していく使命をもった自分だからこそ、いよいよそこにあるゴミ問題について向き合ってみようと決意した。

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あらためましてこんにちは、にかほのほかにスタッフの藤本智士です。

ということで今回、「あつまれ!人間の出したゴミ」略して「あつゴミ」というイベントを企画しました。ええ、そうです。昨年の今頃のめり込んでた「あつ森(あつまれ!どうぶつの森)」に擬えて命名しました。すみません(だって子どもたちにも参加してもらいたかったんだもん)。

そこでまず最初に相談したのが、にかほの海を愛する横乗り系おじさん、須田賢さんでした。

日本夕陽百選にも選ばれている象潟海水浴場をはじめ、にかほ市には幾つもの砂浜があり、秋田県の内陸各地から多くの人が海水浴に訪れていたといいます。また波乗りの良スポットとして、いま現在も多くのサーファーに愛されています。実際、ビーチクリーン活動を多くをサーファーのみなさんが行ってくれていて、須田さんもその一人。

さらに須田さんは、以前僕をにかほ市小砂川地区の湧水スポットに案内してくれたことがありました。そこで僕は、鳥海山と日本海が水脈を通じてフィジカルに繋がっていることを身を持ってもって感じることができたんです。参加者のみなさんに、同じ経験をしてもらえれば、その後のゴミ拾いに一層熱がこもるのではないかと思い、ゴミ拾いと湧水めぐりを一緒にしたイベントとして企画したのが「あつゴミ vol.01」でした。

結果、とても良いイベントになったと思います。

あ、最後の写真、なんだかヒーローらしき人物が写ってますね……。にかほを代表する我らがご当地ヒーロー、ネイガーさんもやってきてくれました。

ネイガーさんについては、ぜひこの記事を↑

ネイガーさんの登場、子供たち喜んでくれて嬉しかったなあ。(てか、大人たちの方が喜んでたかも。ネイガー尊い…)お陰で、より一層エンタメ要素の強い、充実した企画になりました。ネイガーさん、本当にありがとう。

湧水の傍で涼んでるおばあちゃんに話しかけるネイガーさん。ほんと優しいのな。

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その後、小砂川海水浴場に移動し、みんなでゴミ拾い。最初は途方に暮れそうになりましたが、それでもみんなでやれば、みるみる綺麗になっていくので、時間を忘れて没頭しちゃいます(でも熱中症には注意DAYO!)。

しかしこの「ゴミ拾い」。やっぱり人が集まらない……。

決して無理強いすることではないんですが、ゴミ拾いって言われると、やはりまあ、楽しそうではないですよね。だからこそ色々知恵を出し合い開催したものの、まだ1回目ということもあり課題も多いのが正直なところです。

今回は、須田さんのサーフ仲間のみなさんが、にかほの海にはお世話になっているからと、わざわざ横手から来てくれたり、由利本荘や近隣の町も含め、にかほ以外の町の人たちがたくさん来てくれたことが、とてもありがたく嬉しかったです。なので次回はもっと、にかほ市民の方が参加してくれると嬉しいなあと思っています。

ちなみにこのレインボーなゴミ写真は、小一時間で僕が集めた、たった一人分のゴミ。実は、ゴミ拾いをする数週間前に「あつゴミ プレ企画」として、漂流ゴミで作品制作をするアーティスト淀川テクニックの柴田くんに、にかほの海を見てもらい、たくさんのアドバイスをいただいたのですが、そこからインスピレーションを受け、ゴミを絵の具だと思えばいいんじゃないかと、一人だけめちゃ選り好みしながらカラフルなプラごみだけを拾っていたら、ほんの1時間だけでこれができちゃいました。

彼のアドバイスがなければ、1回目からこんなに楽しくゴミ拾いができなかったはず。柴田くんにも、あらためて感謝しています。ありがとう。

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さて、そんな「あつゴミ」ですが、次回は7月18日、金浦地区にある「赤石浜海岸」での開催を予定しています。

どうか、たくさんの人に参加いただきたく、拡散のほど、よろしくお願いします!

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そういえば、先日KOJI CLEARというノンアルコールの麹ドリンクのクラウドファンディングを無事大成功させた、秋元衆平くんと、にかほでもノンアル文化を構築していくべく雑談していたら、彼がプロジェクトIKKKAUという海ゴミ削減チームのサポートをしていることを知りました。そして、なんとあつゴミ開催の二週間前に、象潟の海の視察にも来てくれていたとのこと。なんだかご縁はつながるなあと不思議な気持ちです。

「にかほのほかに」は、カフェです!とか、図書館です!とか、レンタルキッチンです!とか、そういったわかりやすいものに変容するまで、まだ時間がかかります。それゆえ、やきもきされている市民の方も多いかもしれないのですが、じっくり本質的に物事を考え、チャレンジングでありながら、地に足ついたことをひとつひとつ積み重ねていくことでしか、未来は描けないと思っているので、どうかあたたかく見守っていただきながら、ときに積極的に参加してもらえたりするとありがたいです。

もう一度言います。次回は7月18日。次回も須田さんをリーダーに、できるだけ楽しくゴミ拾いができるよう、知恵を絞っているので、ぜひともご参加ください!

しかしネイガーさんは、ほんと色んな意味で強いわ。